2011.01.28 ツイッターより
【正義】その字源的解釈をしてみます。
話題のサンデルの授業を僕も見ましたが【立場によって変わる正義の解釈】は難しいですよね。
大辞泉などの現代解釈では、「正義とは、社会的な生活に直接つながる道徳の一つで、人々が互いにどう生きていくのか倫理上の決断をしていくこと」などとあります。
決して悪い奴をやっつけるような、見かけのかっこ良さが正義ではない。
アンパンマンを描いたやなせたかし先生は、敵味方関係なく、おなかのすいた人を助ける逆転しない正義こそ大切だ…と、自身の戦争体験などからその哲学を解いています。
では、その字源は…以下【字統】【常用字解】白川静先生説からの引用です。
[正]は、一と止の組合せ。
一は■の象形。城郭で囲まれた邑(まち)を表し、止は足跡の形で「行く」を意味しています。
そこから[正]という文字は、「城郭を攻めて征服すること」と解いています。
正は征の元字であり、その征服の方法が政という文字になっていきます。
[義]は、羊と我の組合せ。
我は鋸(のこぎり)の形。
古来「羊」は神聖で美しいと崇められ、神への祈祷の犠牲(いけにえ)とされていました。
いけにえの羊が、完全であることを証明するために、のこぎりで体を切り離し内蔵も含めすべて完全であることを示している様を表した文字が「義」です。義=(ただしい)と説いています。
文字の生まれた中国古代の時代では、征服と神事が道理の中心であったという背景を知らないと、どうにも腑に落ちない解釈かもしれません。
現代ではゾッとするような解釈かもしれませんが、当時の人々にはそれがごく自然の価値観だったのです。
歴史は「年号」や「事象」からだけ学んでも意味がないことを考えさせられます。
【正】の一文字雅印 印影