銀行印をつくるとき、皆さんはどんなことを大切にされますか。
印材の種類や大きさ、使いやすさ。もちろん、どれも大切な選択です。
けれど、印章をお渡しする瞬間に、私たちがあらためて感じる魅力があります。
それは、普段見慣れている自分の名前が、伝統的な文字によって新しい表情を見せてくれることです。
見慣れた名前が、篆書体で変わる
先日、ご自身の銀行印をお求めになったお客様に、黒水牛の印材を使った12ミリの印章をお渡ししました。
おつくりしたのは、お名前を篆書体で彫刻した銀行印です。

完成した印章と、文字の成り立ちや背景を紹介する文字解説書を一緒にお見せしたところ、お客様からこんな言葉をいただきました。
「こんな名前になるんだー」
そのひと言が、とても印象に残りました。

自分の名前は、毎日の暮らしの中で何度も目にするものです。書類に記入したり、名前を呼ばれたり、普段はごく当たり前の存在かもしれません。
しかし、篆書体という古くから伝わる文字のかたちにしてみると、いつもの名前が違った姿を見せてくれます。
見慣れた名前なのに、どこか新鮮で、趣がある。
その発見が、印章を手にする喜びのひとつになるのだと思います。
篆書体が生み出す、印章ならではの趣
篆書体は、現在私たちが日常的に使っている文字とは異なる、独特の線や形を持つ書体です。
印章に用いることで、文字が印面の中に美しく収まり、普段の筆記とは違う風格が生まれます。ただ読みやすい文字を刻むだけではなく、限られた印面の中で、それぞれの文字の形を生かしながら全体を整える。
そこに、印章づくりの奥深さがあります。
自分の名前を、あらためて眺めてみる。
そんな体験も、オーダーメイドの印章だからこそ味わえるものです。
印章と一緒にお渡しする「文字解説書」
当店では、印章をお渡しする際に、文字の成り立ちや背景を紹介する解説書もお作りしています。印章は、完成した品物をお渡しすれば終わり、というものではありません。
なぜこのような文字の形になるのか。どのような背景を持つ文字なのか。
そうしたことを知ると、印面を見る楽しみも少し変わってきます。
今回も、完成した印章と二つ折りのカード型解説書を一緒にご覧いただきました。
印章そのものの美しさだけでなく、そこに刻まれた文字にも関心を持っていただけたことを、うれしく感じています。
自分の名前について、新しい発見がある。
それもまた、名前を印章にする価値のひとつではないでしょうか。

文字解説書のサンプル
自分の名前と、長く付き合うために
銀行印は、日々の暮らしの中で大切な場面に使う印章です。
だからこそ、ただ手続きをするための道具としてだけでなく、自分の名前を刻んだ一本として、愛着を持ってお使いいただけたらと思います。
普段は見慣れている自分の名前も、伝統の文字で表現すると、思いがけない魅力に出会えるかもしれません。
私たちは、印章づくりを通して、そんな小さな発見と喜びもお届けしたいと考えています。
あなたのお名前には、どんな表情があるでしょうか。
篆書体で表現する、ご自身だけの印章。
その魅力を、ぜひ一度ご覧ください。
一人ひとりのお名前を大切に、文字と向き合い、心を込めて印章をお作りしています。


